何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (版数で見る「この恋」シリーズの軌跡)
どうも東雲信者です。
先日の記事では、「この恋と、その未来。」という作品がどのような軌跡を辿り、無念の打ち切りになったのかを
「作者サイド」・「出版社サイド」
という観点に着目しまとめさせて頂きました。
本日は、恐らく通常の読者が誰も注目しない「版数」という観点からどのように「この恋」シリーズが売り上げが悪いと判断されたのか?
ということに関して私なりに考察したいと考えております。
恐らく、一読者でありながら出版物の版数まで把握しているのは私だけだと思いますので・・・
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さて、先日書いた記事では出版社がどのような販促活動を行って経営戦略をとってきたかを書かせて頂きました。
しかし、それが成功には繋がらなかった。
それは何故なのか?
それは市場に商品が十分に供給できていなかった、すなわち「増版」されなかった為に市場読者に効率的に作品提供できなかったからであると私は考えております。
1.「版数」とは?
一般的に、出版物はある一定量を印刷され発行し、出版物として市場へ提供されます。
問題となる誤植や、差し替え等がない場合初版と言う形で市場に多く出回ります。
「版数」とはすなわち、その出版物がどれだけの回数印刷されたのかを知る目安でありある種の「作品知名度」を図る手段としても活用することができます。
ライトノベルにおいては先述の誤植等の一部例外を除き、
「作品の売り上げが見込める」
上記の状況において増版されることが多々あります。
例えば、市場に読者が1万人いる。けれども、出版物は1000冊しかない。
残り9割の読者に提供するためには数を増やす必要がある、だからこそ増版する必要があるわけですね。
注意すべき点は、市場での欠品期間が長くなるに伴い購入意欲が減衰する傾向にあるということです。
買いたい作品が市場にない場合、他の店舗に行って見つかれば買うでしょう。
しかし、もしそこでも欠品していたら?
購入機会の損失は、売り上げの減少に直結します。
2.森橋ビンゴ作品における版数の軌跡
2013年度の「このラノ」ベスト10位入賞によって、「東雲侑子」シリーズの知名度は大きく向上しました。
完結作品であることと、全3巻であること。
それら2つの要因と、作品の面白さから2014年時点では
「東雲侑子は短編小説をあいしている」:第5版
「東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる」:第5版
「東雲侑子は全ての小説をあいしつづける」:第4版
という結果が確認されております。
もともと、一度に増版する量は他作品に比べて少ないでしょうが、それを考慮しても第5版まで増版されたことを考慮するとこの作品がどれだけ愛されたのかが少しでも感じて頂けると思います。
さて、上記内容は2012年5月30日に完結した「東雲侑子」シリーズが3年近く掛けて辿った軌跡でございます。
それ以降の増版が無いことと、「この恋」シリーズ刊行後の増版が確認できないことから市場への供給はある程度提供し終えた状況であることが考えられます。
それらを踏まえたうえで、新作となる「この恋と、その未来。」シリーズの刊行の軌跡を振り返ると以下のようになります。
2014年6月30日 「この恋と、その未来。 -一年目 春-」発売開始
「この恋」シリーズ連載開始
2014年11月29日 「この恋と、その未来。 -一年目 夏秋-」発売開始
同日「一年目 春」再販決定(公式BLOG様や独自の市場調査により確認)
2015年5月30日 「この恋と、その未来。 -一年目 冬-」発売開始
同時期頃に「一年目 春」三版を市場調査にて確認。
2015年10月30日 「この恋と、その未来。 -二年目 春夏-」発売開始
上記作品発売時期との間で「一年目 夏秋」再販を市場調査にて確認。
2016年5月30日 「この恋と、その未来。 -二年目 秋冬-」発売開始
これが、「この恋」シリーズが歩んできた版数の軌跡であります。
「東雲侑子」シリーズに比べ、「この恋」シリーズの版数の伸びが少ないというのが明確であります。
3.何故増版ができなかったのか?
増版ができないということはすなわち、「市場に商品がない状況を産み出す」ということであります。
しかし、増版するということは「絶対的な売り上げが見込める」という期待が無ければ増版に至るのは難しいということでもあります。
つまり売れなかった場合、在庫を抱えるリスクも同時に抱えるということです。
ライトノベルは一般的に、発売後2週間前後の初動で打ち切りか否かが決まる、などと言われますが、「この恋~」に関しては初動だけで言えば、そりゃまあ貴方、酷いもんです。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
こちらの森橋先生の発言から、「この恋」シリーズの増版に踏み切れなかった背景が推察できます。
反面、前日の記事でも取り上げた通り「市場へのアプローチ」には出版社なりに努力してきた跡が見受けられます。
それでも、増版を行い不動在庫を抱えるというリスクから想定した市場への供給を十分に行えなかったのもまた事実であります。
この問題に関して、出版業界の今抱えている多くの問題が連鎖して起こったと考えております。
今一度、皆様の愛する作品について本当に作品のことを知っているのか?
自問自答してみてください。気付かないだけで無念の打ち切りと言う「作品の死」の足音が近づいているのかもしれません。
知らなかったで貴方の好きな作品は亡くなって良いのですか?
何度でも言います!失ってからでは遅いのです!
最後になりますが、私のようにいちいち出版作品の版数まで数えろなど申しません。
しかし、皆様に言いたいこと。
知ってください、今貴方が好きな作品がいる状況を。
作品世界を取り巻く出版業界を。
この記事をきっかけに、少しだけでも多くの方が好きな作品について考えて頂ければ幸いです。
貴方の好きな作品と、その未来。を迎えることを心より願って・・・
何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (出版社サイドの落ち度について)
何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか?
今回は「出版社サイド」という観点から、信者である私がこれまで出版社がどのようにアプローチをし経営戦略を進めていったのかを記録するものです。
前の記事でも申し上げましたが、「出版社」や「作者」を悪戯に非難したり、乏しめるつまりもございません。
加えて、彼らを必要以上に擁護するのもこの場では極力差し控えようと考えております。
そういいつつも前回の記事で森橋先生に肩入れしすぎたのは否定できませんが・・・
本記事の趣旨は、
「何故打ち切られたのか?」
という明確な結果に至ってしまった要因を、様々な観点から検証してみるという趣旨のもと記載しております。
繰り返すようで申し訳ありませんが、信者である私は良い部分も悪い部分も包み隠さず受け入れなければなりません。
好きな作品であるからこそ、世界で最も愛していると自称しているからこそこの事実を直視したいと考えております。
長くはなりましたが、これより本題である
何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (出版社サイドの落ち度について)
について語ろうと思います。
前記事
さて、早速ですが皆様は「この恋と、その未来。」という作品がどのような経営戦略をとっていたかご存知でしょうか?
経営戦略と言ってパッと思いつかない人も多いでしょう。
単純に言ってしまえば、「どうやったら作品を知ってもらえるか?」という事であります。
多くの出版物は、
「○○賞受賞!!!(各レーベル毎の新人作品など)」
「○○先生絶賛!!!(人気ラノベ作家様等の評論など)」
「○○先生最新作!!!(シリーズ完結後の有名作家様による新作など)」
と言う風に告知されます。
(今回は完全なる新規作品を出版したと仮定します)
最近では、ネットでの話題によって出版刊行される「なろう」シリーズや、メディア展開や人気絵師を採用した物など時代による変化も多少はありますが
本質的な「何かしらの評価対象を用いて売り込む」というのは、新規作品のある種テンプレート的な経営戦略であると言えます。
前述の例でいうなら、
各社毎に行われる賞を受賞した作品を持ち上げる
「受賞型新作出版」
ー前年までの受賞作をラインナップすることで過去受賞作の読者や、ラノベ読者等の読者層を獲得する経営戦略ー
各社毎の人気作家評価によって作品を持ち上げる
「評価型新作出版」
ー既存人気作品を提供している人気作家によるお墨付きを貰うことで、その読者ならびにラノベ読者に興味を持たせ読者層を獲得する経営戦略ー
作者の固定客を新作提供によって作品を持ち上げる
「固定型新作出版」
ー上述した既存作品等を手掛けた作家が作り出した新規作品を、その読者ならびにラノベ読者に興味を持たせ読者層を獲得する経営戦略ー
の3つに分類化できるのではないと思います。
(上述の名前は私が適当に付けたものです、細分化するとこれまた長くなるので今回は割愛します)
前2つは完全なる新規作品(いわゆるデビュー作品と呼ばれるもの)であり、それらのブランドネームを持たない作家を売り込むために、各出版社が手を変え品を変え話題を生み出そうとしております。
当然、それら作品を売り込むためには話題を作らなければなりません。
産まれた時点で、既に「固定読者を何万人も所有する作家」と「産まれ立ての新人作家」ではどちらが売り上げを期待できるか?
言うまでもありませんね?
そう、後者です。
出版業界もボランティアではありません、売り上げを出せない作品に未来はありません。
「この恋と、その未来。」という未来の名を冠する作品が打ち切られてしまったのは皮肉な話ではありますが・・・・
話が逸れましたが、要するに私が言いたいのは「作品を売り込む努力」が必要不可欠である。
当たり前のように感じられますが、我々が知らないところで出版社様は努力をしておるのです。
本当に前置きが長くなりましたが、ここからが本編です。
まず初めに
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この記事では、前作「東雲侑子」シリーズと今作「この恋と、その未来。」が歩んできた歴史を記載させて頂きました。
発売日関連だけではありますが、出版社や作者である森橋ビンゴ先生・Nardack先生ならびに関係者の皆様の意図の一端を垣間見れるのではないのかと考えております。
本記事では、前記事では触れなかった「この恋」シリーズの歩んだ歴史をより明確に記述したいと思います。
2012年5月30日 「東雲侑子は全ての小説をあいしつづける」発売開始
この日、前作「東雲侑子」シリーズ完結。
同年11月に、「このライトノベルがすごい!2013年度」の8位に入賞する。
完結作品にしては極めて異例であり、同年のベスト10ランクイン作品としては同年に完結した「サクラダリセット」と並んで受賞作品内でアニメ化していない作品であるのだ。
(アニメ化に際して細かいことを言えば、受賞当時はアニメ化していない作品なども入賞ではあるが今回は割愛する)
これがどれだけすごいことなのかは、各読者毎には異なりますが
「全くの無名作品」:同年入賞作品と比較しても話題性は非常に低い。
「短期間完結作品」:上述作品と比較しても巻数は非常に少ない全3巻。
という2つの観点だけでも、「東雲侑子」シリーズが入賞したことがどれだけの偉業を成し遂げたのか言うまでもありません・・・
さて、そうした偉業を成し遂げてから1年半後・・・
ついに、森橋ビンゴ先生が始動します。
そう・・・
2014年6月30日 「この恋と、その未来。 -一年目 春-」発売開始
「この恋」シリーズ連載開始である。
前作の「東雲侑子」シリーズとは違い、本作「この恋」シリーズはある巻数以上の連載を想定した出版作品であります。
具体的に、どれだけ出版社が力を入れ込んでいたのかと言うと、
1.連載開始時に森橋先生とNardack先生とのインタビューを含めた公式特集HP
2.大手書店での多数店舗との販促展開
3.作品舞台である広島とのタイアップ
とファミ通文庫作品にしては比較的大規模の経営戦略をとっております。
皆様はご存じだったでしょうか?
1に関しては、作品概要と登場人物の紹介、それに加えて各先生方への今作への意気込みなどのインタビュー記事。
2に関しては、「アニメイト」様・「ゲーマーズ」様・「WonderGoo」様等の全国展開しているアニメショップでの店舗特典の配布。
3に関しては、広島大手書店での限定店舗特典と広島駅とのタイアップ。
今作に掛ける「ファミ通文庫」様の意気込みが感じ取れるかと思います。
現実問題として、「この恋」初巻の売り上げは出版社サイドとしては予想以上に悪かったそうではありますが、
同年の「このライトノベルがすごい!2015年度」では1巻のみで9位に入賞する等、話題を提供する等出版社が悲観する程、致命的な結果ではなかったというのが私個人の見解であります。
「このラノ2015年度」の話を先に出してしまいましたが、その前に
2014年11月29日 「この恋と、その未来。 -一年目 夏秋-」発売開始
を迎えている。
同発売時期に、ファミ通文庫は2つの大きな経営戦略を行っておりました。
1.全国書店における既刊作品購入者への販促物配布
2.それに伴う公式HPでのインタビューならびにサインプレゼント
であります。
同ファミ通文庫作家である「石川博品」先生とのタイアップを行う形で、各先生方へのインタビュー等、新規読者の獲得を目的とした経営戦略が行われておりました。
加えて新刊発売直後には、ファミ通文庫公式Twitterアカウントによる感想Tweet等のRT等、公式が必死に宣伝活動を行っておりました。
転機となったのは続巻の
2015年5月30日 「この恋と、その未来。 -一年目 冬-」発売開始
この巻で販促物が「アニメイト」様・「ゲーマーズ」様の2店舗だけになってしまいました。
「一年目 冬」の評価に関しては過去記事にも書きましたが、この巻の発売時期は個人的には大きな分岐点ではないのかと個人的に推察しております。
私個人では良い風に繋がったと認識しておりました。
しかし、出版社サイドにとってこれを機会に裏で打ち切りを進めていたのではないかと考察しております。
2015年10月30日 「この恋と、その未来。 -二年目 春夏-」発売開始
同年秋に、続巻が発売しているがその直後に発表された「このラノ2016年度」での評価もベスト10位以内を逃すなど雲行きは怪しくなっていきました。
しかし、ベスト20には入賞していたこと、ファミ通文庫というレーベルでは最も順位が高いという理由から完結までは滞りないであろうと高を括っておりました。
あとがきでも、あと2巻ほどで完結すると明言しておりましたので・・・
そして、訪れる運命の日・・・
2016年5月30日 「この恋と、その未来。 -二年目 秋冬-」発売開始
「この恋」シリーズ打ち切り決定(森橋先生発言ならびにあとがきより)
関連発言
ただ「この恋と、その未来。」に関しては「最後のライトノベル」として書き出しただけに、中途半端にしたくなかったんで、最終巻にあたるテキストはいずれ何らかの形で発表はします。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月29日
あれこれ書いた上で、この期に及んでまたダラダラと書きますけども。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
今回の打ち切りを受けて「ファミ通文庫がクソ」とか「ファミ通文庫無能」みたいな意見は本当に、やめて頂きたいと思うわけです。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
ライトノベルは一般的に、発売後2週間前後の初動で打ち切りか否かが決まる、などと言われますが、「この恋~」に関しては初動だけで言えば、そりゃまあ貴方、酷いもんです。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
しかし、ボクの本はライトノベル業界には珍しく、長い目で見ても多少上向きになる傾向があるので、かなり大目に見て貰っていた節があります。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
そんなファミ通文庫さんだから、ボクはここまでライトノベルを書く事を続ける事ができた、と言っても、過言ではないのです。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
そもそも「この恋~」の企画が通った事も、そうです。ボク自身、厳しい企画だとは分かっていましたし、編集部もそれは分かっていたはずなので。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
それでもボクの我が儘を通して下さったのはファミ通文庫編集部で、ボクはずっと、それこそデビュー以来、彼らに感謝をし続けています。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
だから、どうか、編集部の事を悪く言わないで頂きたい。彼らは「売れ線ライトノベル」を書けない歪な作家の我が儘を、寛大に受け入れて下さったのだから。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
それともうひとつ、本来5巻で終わらせろと命じられた物語を、結局6巻構成のままの5巻として書き上げてしまった事について、これは単純にボク個人の我が儘なので、読者の皆様には謝罪する他ありません。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
ただ、ひとつだけ言い訳をさせて頂くなら、どうしても5巻で終わらせる事ができなかったのは、6巻にあたる部分が「再会」のエピソードだったからです。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
「再会」には間が必要です。それは物語が公開されるまでの時間であり、また単純なページ数という意味においてでもあります。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
別れのエピソードの後、同じ本の中の、たかだか数十ページ後に再会するような事にだけは、どうしてもさせたくなかった。つまるところ、それが理由です。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
という事なんで、とりあえず、ファミ通文庫さんを悪く言うのはやめてネ。あと、駄目ライトノベル作家で、ほんま、すんませんな。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
以上が、「この恋」シリーズが辿った打ち切りという顛末の全容でございます。
では、上記の経営戦略を踏まえたうえで私が考える敗因を2つだけ述べさせていただきたいと思います。
1.一般読者ならびにラノベ読者への周知不足
売り上げが悪い作品を推すことは確かにリスクの高い行為ではあります。
では、それを考慮してでも何故私がこれを敗因と断言するのか?
それはこの一言に集約されます。
「皆さんは上記経営戦略の一端を少しでも周知していたでしょうか?」
つまるところ
「「この恋と、その未来。」という作品をファミ通文庫が売り込んでいたという事実を知っていましたか?」
ということです。
去年のラグビーワールドカップで日本代表が南アフリカを破り、「五郎丸歩」選手が世に広く認知されたように
「知ってもらう」
という行為は、経営戦略にとって非常に重要な事柄であります。
「それまで、ラグビーにおいて日本が24年間勝てなかった事実をご存知ですか?」
「日本代表が何故偉業を成し遂げたのかご存知でしたか?」
知ることの重要性を改めて語る必要は無いと思います。
それだけ「知る」という行為、すなわち「認知」してもらうという行為は必要不可欠なのです。
「売れるべき作品を売れるようにする」
出版社の責務であると私は考えております。
そうした理由から、1つ目の敗因と挙げさせていただきました。
2.販売店舗との情報伝達の行き違い
これも1つ目の敗因に起因する要因ですが、出版社は販売店と協力してキャンペーン展開や販促物などの配布を行っております。
特に、「一年目 夏秋」発売時に行われた、「東雲侑子」シリーズとの連動SSペーパーの配布キャンペーンの際に販売店舗が販促概要を周知していなかった事実確認できました。
(後日、別途記事にて詳細は延べますが・・・)
キャンペーンが周知されることも重要ですが、それを展開する販売店様との密なやり取りが必要不可欠なのは言うまでもありません。
1つ目の読者への周知に加え、販売店への周知の欠如。
店員も知らないことが、読者の皆様に伝わるとお思いですか?
「売る人間が作品の魅力を理解していないことがどれだけ愚かなことか」
言ってしまえば
「販売店様が販売している商品が何かを知らない状況にある」
ということと同義しているのです。
「是非とも当店で買って下さい!何を売っているかは私も分かりませんが!」
そんなお店で何か購入したいと思いますか?
販売店側との密なやり取りはそれだけ必要不可欠なのです。
以上2つを大きく怠ったが故に、今回のような打ち切りになってしまった。
私はそう考えております。
最後にひとつだけ言わせて頂きます。
出版社サイドの落ち度について指摘しましたが、出版社について大きく非難するつもりはありません。
この場ではそのつもりは毛頭ございませんし、別途記事で爆発させようと思います。
昨今の、紙媒体の売り上げ減と言う状況でありながら、上述の経営戦略をとったことがどれだけ凄いことであるか・・・
アニメ化もコミカライズ化も、他作品の王道作品に比べ見込みが少ない作品であります。(もちろん今作が素晴らしいというのは事実ですが今回は割愛します)
その「この恋と、その未来。」と言う作品がこれだけ力を入れられていた。
それは、変わりようがない事実であります。
その反対に、それだけの活動を皆様読者に周知してもらえなかったということもこれまた変わりようのない事実であります。
それを踏まえたうえで、アンケートの記入や感想の共有など我々読者が出来ることを行って頂ければと思います。
長くなりましたが、以上で締めたいと思います。
駄文失礼致しました。
何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (作家サイドでの落ち度について)
まず初めに。
本記事では、先日打ち切りが決定した
ファミ通文庫「この恋と、その未来。」がどのような経緯を至り、打ち切りになってしまったのか?
という悲劇が繰り返されないために、あらゆる角度から作品がどのような経緯を辿ったのかを記録したいと思い書き起こしたものです。
私個人の主観も多少含まれますが、記憶や情報媒体による可能な限り客観的な視点に重きを置き記事にしたいと思います。
当然ですが、尊敬する「森橋ビンゴ」先生を貶したり乏しめる気は一切ございません。
しかし、私は東雲信者です。
信仰対象をただただ崇めるだけの愚鈍なる盲信者のつもりではありません。
先生の良い部分も悪い部分もすべて理解したうえで、「東雲信者」を名乗っているつもりであります。
あらかじめ、ご了承くださいませ。
さて前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。
1.何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか?
「2015年度このラノ」ベスト10にランクインし、「2016年度このラノ」ではベスト10を逃したものの20位以内には入閣していた「この恋」シリーズ。
何故高く評価されていたこの作品が打ち切られてしまったのか?
多くの理由が挙げられております。
「売り上げが悪かった(森橋先生のコメントより)」
「作風受けが悪かった(ラノベ向けではないという評価)」
が挙げられております。
前者の理由は後者に起因しますが、「王道青春ストーリー」と「邪道青春ストーリー」
どちらが一般的に受けがいいか?という話です。(あえてこのような表現を採用しております)
そりゃ当然ですが、一途な少年少女の物語と人間関係ドロドロの愛憎塗れた物語。
どっちを大衆は望みますかって話ですね。
もちろん、「この恋」シリーズの本質は誰もが好きな「青春ラブコメディ」です。
しかし、出版業界もボランティアではありません。
如何に商品が評価されていようとも、売り上げを出せない商品を生産し続けることは困難な時代を迎えております。
この問題については、別所で触れようと思いますが、売り上げが悪い故に打ち切られた。
そして、その原因の一角に「大衆向け」ではなかったというのも、我々が避けてはいけない事実であるのは違いありません。
では原因はそれだけだったのか?
私は、次の2つが更なる原因であると考えております。
2.発刊ペースの問題
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こちらの記事には、以前私が森橋作品、すなわち
「東雲侑子」シリーズ
「この恋と、その未来。」シリーズ
がどのような歴史を歩んだかが記録されております。
注目して欲しいのは、「この恋」シリーズの発刊ペースです。
割愛しますが。
1巻「一年目 春」 2014年6月30日発売
2巻「一年目 夏秋」 2014年11月29日発売
3巻「一年目 冬」 2015年5月30日発売
4巻「二年目 春夏」 2015年10月30日発売
5巻「二年目 秋冬」 2015年5月30日発売←打ち切り決定
となっております。
お気づきの方もいるかと思いますが、一般的なラノベに比べ
発刊ペースが遅いというのがお分かりでしょうか?
一般的なライトノベルの発刊ペースが3~4か月に1冊。
年間にして3~4冊ペースとなります。
しかし、「この恋」シリーズはそれらと比べると半分程になっております。
常に読者は新刊を求めております。
一部の大人気作家を除き、発行ペースが遅い作者は話題が薄くなりがちな傾向にあります。
特に、「このラノ」上位陣はアニメ化やコミカライズに加え、原作も安定して刊行されている。
「この恋」シリーズもそうした作品に比べると、安定して新作の話題を提供できなかった。
これが、今回のような結末に至った要因の大きなひとつであると私は考えております。
ただ、作品を早く提供すればいいという単純な問題でもないわけでして、しっかりとした内容に落とし込むための期間という意味では遅筆でも大して問題ないと思っております。
現に、「2015年度このラノ」選出期間においてアンケート対象は1巻の「一年目 春」のみでした。
他作品が、複数巻を考慮しての順位に対して、前作「東雲侑子」シリーズの前評判と1巻のみであの順位を勝ち取った「この恋と、その未来。」に対して私の口からこれ以上の「たられば」論は無粋であります。
発刊ペースも話題を提供するという一面では必要であった、そのように考察している。
という形で本項を締めたいと思います。
3.作品をうまくまとめれなかった。
「この恋」シリーズは前作「東雲侑子」と違い、作品展開が安易に予想できない作品でありました。
他作品でいうなら、この主人公はこのヒロインとくっつく等のような大まかな予想が本作品では出来ませんでした。
そこが、今作品の最大の魅力であると私は考えておりますが一般層ではどうでしょうか?
大して売れてない作品が、他の大手作品のように予想もつかない展開を紡ぎ読者を惑わせる。
前作「東雲侑子」シリーズはそういう観点から言えば至ってシンプルなもので。
主人公がヒロイン「東雲侑子」に惹かれていく様を描いた作品です。
今作は執筆当初から続編を出すことを想定した作風であるため、前作と違って長ったらしく感じてしまった。
一区切りと言う段階でも、問題を抱えながら次に続くという展開である以上歯切れが悪いとも言えます。
したがって、今回「この恋」シリーズが打ち切られてしまったのは。
「シリーズの売り上げが悪かった」
その要因は
「この作品が読者を選ぶ作品であったため」
「作品の話題性はあったものの瞬間的であったため」
「作品展開上とはいえ、打ち切るまでに展開をまとめきれなかったため」
という作者の実力不足も今作品の顛末の一端であると思います。
という事なんで、とりあえず、ファミ通文庫さんを悪く言うのはやめてネ。あと、駄目ライトノベル作家で、ほんま、すんませんな。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
上述を踏まえたうえで最後に私の自論で、本記事をまとめさせていただきたいと思います。
作品の話題性や、読者層が求めている作品を提供できなかった
この二つが上述の要約です。
しかし、創作活動は難しいものです。
最高の作品を産み出すのが作者の責務だとすれば、世に広めるのが出版社の責務です。
世が求めてる作品を提供できなかったのも、確かに反省すべき点ではあります。
しかし、皆様本当にそれが正しいのでしょうか?
創作活動において、市場の求める作品を提供するのも確かに重要です。
それが蔓延ればどうなるのか?どこかでみたストーリー展開、聞いた声や似たようなキャラクター、そして日替わりで使い捨てられる作品達・・・
本当にそれでいいのでしょうか?作品達は生きています。
好みや流行は常々変わります。
それを批判する気はさらさらありません。
ですが、作品それぞれの個性があるからこそ我々読者は本の海を漂い、千載一遇・一期一会を経てそれぞれに合った作品を手にします。
流されるなとは言いません、皆様の好みを否定する気は毛頭ございません。
どうか、これだけは忘れないでください。
産み出した作品をしっかりと読むのは我々読者の責務です。
その産み出された作品を守るのもまた、我々の責務なのです。
何度も言います、好きなものは好きと言おう!
東雲信者でした。
好きな作品が打ち切られないために読者が出来ること(買え!読め!言え!)
東雲信者です。
今回は、過去にも言ったかもしれません
「どうやったら好きな作品を守れるのか?」
「打ち切られないために出来ることはないのか?」
という観点から皆様に声を大にして言いたいと思います
やることはいたって簡単で、キーワードは
「買え!読め!言え!」
の3つです。
ただし、どこかの信者みたいに100冊以上買う必要はありません。(あれはわたs・・・狂人は一人のみで十分)
1.「買え!」
当然ですが、出版物は皆様読者が買って頂くことによって出版社並びに著者に収入が入ります。
肝心なのは、買うタイミング。
一般的に新刊が出たタイミングが読者側・出版側、双方注目している時期になります。
つまり、
「我々読者が一番出版物に対して関与できる期間」
それが、発売直後なのです。
読者側は当然ですが、新規開拓や読者同士の共有で動きます。
特に、本を愛読する人間は話題作に触れる機会を求めている。
このタイミングを逃す手はないでしょう?
さらに、出版社的な視点で言えば
初動の売り上げがいい→続編を出しても利益が見込める
という判断で動くので、初動のタイミングで動くのが大事なのです。
当たり前な話ですが、過去作品が急に話題になるのはほとんどないので出た直後に買う。
これが非常に重要です。
2.「読め!」
さて買って頂いた新刊。
皆様はどうされているでしょうか?
ひょっとして、買って満足して積んでませんか?
買ったはいいが、読むのが遅れてしまった。
これでは意味がありません。
確かに、利益と言う観点から見れば既に皆様は出版社に対して大きく貢献していると言えます。
しかし、出版社は利益もそうですが、多くの場合感想を求めています。
当然ですが、面白いや続きが気になるなどの感想が上がれば続編を出そうかという動きにも繋がります。
つまり、
「刊行直後に読むことで、間接的に作品の話題を提供できる」
ということです。
これは、次の3.の項目に繋がりますが、買ったものを読むことは非常に重要です。
先述したとおり、出版業界の作品への関心は刊行直後がメインです。
その注目期間内に、読了することが作品を長く続けて頂く大きな要因ともいえます。
3.「言え!」
これは、何を言うのか?
ずばり、本の「感想」です。
今や、インターネットとSNSの普及により新刊の感想や内容(ネタバレ)などは以前に比べ容易になりました。
ブログ・Twitter・Facebook等の有効活用が必要不可欠と言えます。
読者がアンケートに答えるだけの時代から、
「読者自身が作品を普及する」
読者が直接著者へ作品の感想を伝える、作品の話題を読者自身が創る。
一昔前では考えられなかった時代が今現実となっています。
発信方法は人それぞれです。
その中でも私が強く推したいのは、公式アンケートの回答とファンレターです。
上述の通り、作品の良さを発信する機会は容易になりました。
しかし、だからこそファンレターや公式への回答は貴重になりつつあります。
貴重だからこそ、その重みを出版業界の人間は重々認知しているのです。
好きな作品だからこそ、きちんと文をしたためる。
その為に、出来ることは?
簡単です。葉書一枚買って感想書いて投函するだけなんです。
わずか100円にも満たない投資で、好きな作品を守れるかもしれないのです。
投稿は形に残らない、形に残る感想って重要なんだよ!
だから出版社って未だに、最後のあとがきで
「○○先生にファンレターを!」
とか言いやがるんだよ、あいつら新時代とかぬかしなが
らやってることはレトロな旧時代の思考概念なんだよ!
だから最後にもう一回言うよ?
「買え!読め!言え!」
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この記事書いたときは、まさか打ち切れるなんて思ってなかったな・・・
今となっては、後の祭りだけどね・・・
「この恋と、その未来。」の最終巻について思うこと
先日は拙い記事を読んで頂きありがとうございました。
どうも、東雲信者です。
色々書きたいことが多すぎて言葉に出来てないけど、少しずつでも言葉に記せたらと思っております。
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ありがたいことに、読んで評価をしてくれる人がいる。
これってすごくありがたいし、今回の騒動で同じ気持ちの人がいるってことだよね。
その声をうまく形に出来たらと思っている。
ファミ通文庫での刊行が非常に厳しい道のりであったとしても、それを成し遂げたいとは強く思っているわけでして。
その為に出来ることってやはり周知してもらうことだと思うんだよ。
周りにここにいるってアピールしないと、だれも見向きもしないわけでして。
当然、時間も経てば忘れ去られてしまう。
それが嫌だから、抗っているんだけどね。
これがなかなか難しい。
刊行するために出来ることってなんだろうか。
私が望む未来は、前回の記事でも述べたけど、ファミ通文庫で最終巻が出ること。
そのために署名活動とかするべきなんじゃないかな?
その為の方法についてすこし調べてみます。
というわけで、皆様に宣言します。
署名活動の場を設ける際は必ずお伝えします。
その為に、私は前線に立って皆様の意思をお伝えすることをここにお約束します。
最後は私の好きな言葉で締めようかと思います。
「奇跡は起こるんじゃねぇ、人が起こすもんだ」
「この恋と、その未来。」 の行末と、その未来。 (いつかの未来へ)
継続は力なり。
打ち切られて話題になったけれども、一週間が経ち段々と話題性がなくなってきたように感じる。
当然、次から次へと新作や新しいジャンルが登場するわけだし仕方ないと言えば仕方ない話でして。
ただ、それでもやれることはやろうと思う。
この記事では、ネタバレも感想も何もありません。
東雲信者を名乗る自分が、いつか来るであろう未来に向けた手紙のようなものです。
そして、これを読んで頂いた皆様への宣誓の証でもあります。
ただ「この恋と、その未来。」に関しては「最後のライトノベル」として書き出しただけに、中途半端にしたくなかったんで、最終巻にあたるテキストはいずれ何らかの形で発表はします。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月29日
森橋先生は先日、このように仰られております。
つまり、ある意味「この恋と、その未来。」という作品の完結を約束されているということであります。
しかし、はたしてただ待つだけで徒に時が過ぎるのを、来たるべき未来をただただ待ち続けるだけでよろしいのでしょうか?
森橋先生を信じて待つ、それはとても素晴らしいことです。
作品の完結を心待ちにする、それこそ好きな作品を愛する人にしか出来ませんし待つこともなかなか大変なことです。
待つということは、言い換えれば「何もしない」という選択肢を選択することでもあるのです。
これで皆様はよろしいのでしょうか?
ただ待つだけでは、無情に打ち切られる。
ただ待つだけでは、何も叶えてくれない。
ただ待つだけでは、未来を勝ち取れない。
我々読者が何を出来るのか?
それは、人それぞれです。
買うことも、読むことも、評価することも、広めることも、薦めることも
無限の方法がこの世界にはあります。
「この恋と、その未来。」の完結は約束されていますが、何が起こるかわかりません。
もし森橋先生が亡くなってしまったら?
もし出版社が無くなってしまったら?
もし読者自身が亡くなってしまったら?
私には夢があります。
それはファミ通文庫様から
森橋ビンゴ先生と、Nardack先生のコンビで最終巻となる
「この恋と、その未来。 -三年目 春-」(仮)
を出版して頂き、それを読むことです。
その為に、数多くの困難があることも知っています。
打ち切られてしまった作品が復活することの難しさを、この世界がどれだけ無情で厳しい世界であることも。
しかし、私はそれと同時に知っていることがあります。
不可能とされる偉業を実現してきた「読者」の願いを。
非常で残酷な運命に抗い戦い続けた「読者」の奮闘を。
好きな作品を愛する作品を唱え続けた「読者」の声を。
皆さんで、未来を迎えに行きませんか?
その為に私は模索し続けております。
一人では何も出来ない、どこにでもいるただの「一読者」です。
そして、来るであろういつかの「未来」を最高の形にしましょう。
このブログと、その未来。- 一年目 春夏-
好きな作品が打ち切られてしまいました。
皆様どうも東雲信者です。
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この記事でも申し上げましたが、私の初志は「好きなものを好きという」ということです。
そのコンセプトの元、このブログは存在致します。
無論、それは「この恋と、その未来。」シリーズが打ち切られてしまっても変わらないわけでして。
当然ですが、打ち切られて言いたいことも不満も憤りも山ほどあります。
しかし、それはこの場を使って叫ぶことでしょうか?
私の尊敬する「森橋ビンゴ」先生は次のように仰られております。
という事なんで、とりあえず、ファミ通文庫さんを悪く言うのはやめてネ。あと、駄目ライトノベル作家で、ほんま、すんませんな。
— 森橋ビンゴ (@Morihashi) 2016年5月30日
単純に出版社を非難するだけなら、誰でも出来ます。
しかし、それは私が大好きな作品を生み出し続けた先生を苦しめることとなります。
それだけは今後も極力避けたいと強く思っております。
何が出来て、どうすれば良かったのか?
それを踏まえたうえで今後は、過去を振り返り来るべき私たちの望む「未来」を迎えたいと考えております。
ただ、先に申し上げておきます。
一度だけこの場で申したい場を設けさせていただきたいと考えております。
あらかじめご了承くださいませ。
「この恋と、その未来。」が生きてきた軌跡を忘れぬよう・・・