東雲信者と、その未来。-一年目 冬-

自分の好きなものをだらだら語るブログ 基本的に森橋ビンゴ先生作品について あと好きなゲーム漫画とか

冴えない作品の育て方 打ち切りにならないためには?

どんな作品にも始まりと終わりがあるように、作品には理想的な終わり方があります。

いつぞやの記事で言わせて頂きましたが、作品を如何に終わらせるか?

昨今の出版物事情を垣間見るにそう思う機会が多々あります。

どうも東雲信者です。

 

本日は「打ち切り」という作者にも出版社にも、そして読者にも不利益なこの冷たい現実を如何に避けることが出来るのか?

というテーマを語りたいと思います。

 

さて、みなさんの理想的なライトノベルの長さはどれぐらいでしょうか?

5巻?10巻?20巻?30巻?

読む人や作品によって様々な意見があると思います。

そんな中で私の思う、理想的な巻数は「10~15」巻程です。

もう少し具体数を上げるのであれば、10巻以内に基本納める、長くても15巻を目安に完結するというのが私の自論です。

 

これにはいろいろと理由がありますが、これまで多くの作品を見てきた中でこれぐらいの長さがもっとも最適であると感じているからです。

連載年数に直すと約5年、作品の寿命的なことを考えると3~5年を目安に一区切りを迎えるのが理想的であると思います。

 

10~15巻程刊行する作品の流れとして、原作がアニメ化を前後に完結を迎えるというのが個人的に美しいと考えているからです。

長く続くことが難しい昨今、出版業界も人気作に取り繕う必要が多いように感じられます。

また、人気作を完結したからと言って次期新作が売れる保証もありません。

しかし、完結出来た作品を徒に延命させた作品も多数あります。

作者の一番最初の読者である出版社が、作者の手掛ける作品を信じずに誰が世に広めることが出来るのか?

 

理想的な完結を迎えれる作品がどれだけ恵まれているのかを再認識した今日この頃。

あの日から約20日・・・

あの悲劇を我々は忘れてはいけない・・・

100冊買う価値 東雲信者の言い分

100冊本を買ったとしよう。

それが100種類の本であれば人は読書家と評し、1種類の本だけであれば人はそれを狂人と称する。

前者はいわゆるラノベ愛読者である。

では後者は?答えは信者だ。

どうも東雲信者です。

 

今日は東雲信者が信者たる所以の逸話とそれに関連したお話をさせて頂こうと思います。

前述の通り、多くの人はこのように評するでしょう。

私自身も一応自覚はあるので、割と頭のおかしいことをやっている自覚はあります。

他の方の言い分はもちろん分かります。

同じ100冊本を手に入れれる権利を与えられたとして(値段がバラバラなのは今回は割愛します)同条件なら私も同じく前者の100種類の本を読み見聞を深めるでしょう。

それを放棄して、何故このような行動に至ったのか?

本日の本題はこちらになります。

 

ここで話を変えますが、例えば貴方が週2回食事に出かけたとしましょう。

同じ店を通う人もいれば、新たな食事処を見つけるために様々な飲食店を通う人もいるでしょう。

この場合、彼らを例えるならなんと評するでしょうか?

恐らく前者を「常連」、後者を「一見」と評するのがこの場合に該当すると思います。

何故この話を突然出したのか?答えは簡単であります。

週2回の頻度ですと、1年換算で100回に相当します。

もうお分かりですね?

冒頭にお話しさせて頂いた例えに直すのであれば、

飲食においての100回同じ場所に通うのは「常連」、すなわち一般的です。

そして、100回別の場所に通うのは「一見」、これもまた一般的です。

 

「飲食と読書は違う」、「屁理屈だ」、「これとそれとは別件だ」

そういう方も多く見えられると思います。

別の話に例えさせて頂きましょう。

片方は1人の人間を愛し、もう片方はこれまで100人を愛した経験を持っている。

この場合、前者の方は「一途」と称され、後者はそれこそ「不純」と称されるのではないのでしょうか?

これもやはり詭弁な話になるのかと思います。

 

要するに私が言いたいのは、物事を評するときには各々の価値観を大事にしなくてはならないということです。

冒頭の「愛読家」という評価も、極端な言い方をすれば「移り気な読者」と評することもできます。

もちろん、読書において多くの文学作品に触れることはとてもいいことです。

しかし、自身の価値観や固定概念に囚われて称することは非常に危ういことであると私は思うのです。

 

私は森橋ビンゴ作品を通算100冊以上買ってきました。

東雲侑子関連書籍だけでも70冊以上、この恋関連だけでも50冊以上は確実に買っています。

そしてそれを多くの方々に「読んで頂きたい」、「良さを共有したい」という一心で布教してまいりました。

その信念は今も変わりないと自負しております。

それは森橋先生が「ライトノベル」というジャンルを引退してもです。

私にとって一生で最も愛する作品が「東雲侑子」シリーズ・「この恋」シリーズであった、ただそれだけのことなんです。

皆様にとって愛読書が各々あるように、今作が私にとっての最愛の愛読書なのです。

本当に、ただそれだけなんです・・・

「この恋と、その未来。」シリーズ愛読者に捧げる一曲

東雲信者です。

今回は以前に語ったかもしれませんが、「この恋」シリーズを読んでる皆さんに聞いて欲しい一曲を紹介します。

今だからこそ聞いて欲しいと思います。

ネタバレはありませんが、全巻読み進めた後に聞くとより作品世界を楽しめると思います。

 


茅原実里「PRECIOUS ONE」PV

 

茅原実里「PRECIOUS ONE」

 

2009年12月23日発売と少し古い曲ではありますが、是非とも聞いて頂きたいです。

 

四郎の決断と、未来の選択・・・

各々の選択に対してこの歌詞がすごく当てはまると思います。

 

「例えばまたあの日が来たって、きっと同じ答えを選ぶね」

「躊躇う思いじゃなかった、痛いほどにそれしかなかった」

 

本編を読んで頂いた方なら、この歌詞がグッとくるかと思います。

それぐらいピッタリではないかと個人的に思っています。

相手のことを思うからこその決断、たとえそれが時に残酷であろうともそれは選ばねばならない時がある。

そんな彼らの決断を思い出して頂ければと思います。

 

さて、今回は少し話を変えて何故私が歌をよく引き合いに出すのかを話させて頂きたいと思います。

一言で言えば完成された作品を表現するのに、非常に便利だからです。

歌というのは完成された作品です。当然それをそのまま引用すれば非常に簡単に思ったことを代弁できます。

そうした意味で、思ったことを歌にするというのは有効なのですが私の中ではもう一つ別の大きな意味があります。

 

それは、「作品世界の魅力を引き出す」という点です。

 

料理で例にしてみましょう。

例えば、貴方がおいしい料理に出会ったとしましょう。

そんな時においしさを何かの引き合いに出すことは一般的な感想を口にする事と同義であります。

「美味しい」や「素材の旨みを引き出してる」等の言葉がそれに該当します。

ではこの場合の「歌」に該当するものは何か?

それは「別の料理」であったり、「酒」等の「飲み物」がそれに該当します。

 

つまり、文学作品などの感想表現に「歌」を引き合いに出すということは、私の中では「その料理に合う飲み物」を引き合いに出すことと同義であると考えております。

いかがでしょうか?そう考えれば何故私がよく作品の感想の引き合いに「歌の歌詞」を多用するのかを理解して頂けるのではないかと思います。

もしご機会あれば、別の楽曲を紹介させて頂ければと思います。

 

forever,your my precious one...

何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (増版に至れなかった理由)

少し、重複するかもしれないけどどうしても書きたかったので。

どうも東雲信者です。

 

先日までは可能な限り考えれる理由を述べさせて頂きました。

出版社の意向や方針によるもの、作者自身の執筆速度、そして出版社自体の市場へのアプローチについて。

今回は、その中で触れた「版数の問題」について

つまり、「何故増版出来なかったのか?」についてもう少し語りたいと思います。

 

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上記の記事でも書きましたが、この恋と、その未来。という作品は知名度こそ他メディアにも数多く展開している作品に比べ評価されている作品でありました。

それは2015年度このライトノベルがすごい!」9位入賞という実績からもご理解いただけると思います。

また、前作東雲侑子」シリーズの高評価もあり、先述の結果を勝ち取れたとも思います。

 

ではそんな作品が増版出来なかったのか?

一般読者には難しいから?売り上げが見込めないから?

上記理由の他に、私は「既刊シリーズの市場供給量過多によるものである」と考えております。

簡単に言えば「売れ残り」ですね。

増版へのプロセスは先日の記事でも触れましたが、一般的に出版社は本を発行した分著作権料などを支払う必要があります。

加えて、増版などの刊行する際には印刷し本を刷らねばならないのでコストがかかります。

 

つまり、「増版」=「コスト」になるわけです。

この「増版」と言う手順に至る大きな要因はやはり売り上げが起因し、

 

「売り上げによる利益」>「増版によるコスト(損失)」

 

に相当しなければ、増版にはならないということです。(一部の例外を除きますが)

 

「この恋」シリーズの軌跡については以前語りましたが、前作東雲侑子」シリーズ発売から2年以上の間が空いていました。

加えて、連載終了後に電子書籍での刊行も決定しておりました。(フルカラーですので是非ともお手に取ってください。)

つまり旧作です。市場でも目にする機会が減っておりました。

そんな旧作と連動した大規模なキャンペーンを刊行しようとした際に、

 

1.出版社の想像以上に「この恋」初巻の売れ行きが悪い

2.前作「東雲侑子」シリーズは旧作であり、市場での価値は見込めない

3.上記2つに起因し、市場全体で見ると増版を掛ける意義が見出せない

 

この3つの理由が大きな原因になり、大規模な増版に至れなかったのが今作打ち切りの顛末なのではないのかと思います。

再版に関しても、恐らく大手書店やキャンペーン連動書店などへの補充発注分程度でそこまで大きな数刷っていたわけではないかと思います。

その結果

 

市場の一部(大手書店等)で在庫不足に、しかし市場全体でみると売れていないから大がかりな増版はできない。

その結果、補充のみの増版になってしまった。

その結果「このラノ」ベスト10位以内にも関わらず、市場に十分な量供給できていない。

新規読者の獲得機会を大きく逸らす。

つまるところ、「売り逃してしまった」ということです。

 

シリーズ作品で、1巻が無い。

続きを読もうと書店へ立ち寄ったら、続きが無くて買えなかった。

 

買い逃しの機会は、新規読者を容易に逃がします。

それがどれだけ面白い作品であっても。

 

 

忘れないでください、この作品が歩んできた過去を。

忘れないでください、この作品が亡くなった現在を。

忘れないでください、この恋と、その未来。を。

 

東雲信者より・・・

出版業界と、その未来。 (今回の騒動から今後どうなっていくのかを考察してみる)

東雲信者です。

早いもので二週間。

ありがたいことに記事を読んで頂いてくれる人もいるみたいです。

それでも、徐々に忘れられつつあります。

 

今回の騒動から、一読者の視点から出版業界について何が起こっているのかを今回は考えてみようかと思います。

 

さて、あと2巻で完結するにも関わらず未完の形で終えてしまった今作。

採算が合わないという名目ですが、残り2冊すら出すのが厳しい状況から垣間見える出版業界は我々の予想以上に深刻なようです。

 

コンテンツはここ最近、急激な勢いで発展していきました。

出版すれば売れる時代は過去のものですが、売れる商品でも宣伝活動が特に重要であるというのは言うまでもありません。

では何故ここまで売れなくなってしまったのか?

 

多くの理由はありますが、その一つに多くの他コンテンツを容易に入手することができるようになったというのがあります。

いわゆる「なろう」シリーズの台頭、すなわち「作品コンテンツの無償化」です。

 

これまで、お金を払わなければ作品を読めなかったものがインターネットやSNSを通じて非常に簡単に読めるようになった。

作品をスマホやPCで手軽に作成できるようになった。

イラストや文章をワンボタンで全世界に配信できるようになったことで、作品を作者と読者が共有する時代に移行しつつあります。

 

もちろんこれは、「無償コンテンツ」の非難ではありません。

新時代の到来でもありますし、エンターテイメントコンテンツの種類が豊かになったことの象徴でもあります。

便利さを手に入れたからこその発展であります。

 

当然、出版業界もそうした時代の波に対応すべく様々な舵取りをする必要が出てきました。

そうした「新時代への対応策」、そんな時代背景も今回の騒動には感じ取れます。

良いものが安易に売れなくなった、たとえいい作品でも売上次第で打ち切られてしまいやすくなってしまったのかもしれません。

 

しかし、そんな出版業界に一言言わせて頂きたい。

時代は変わります。それも急速に。

大手企業であればそれも柔軟に迅速に。

それでも、作品あっての出版業。作者あっての作品です。

 

大手企業だからこそ、これまで培ってきた努力の結晶を安易に手放してはならないと私は思うのです。

良いものはそれに見合った価値を出す人々は必ずいる。それも少数ではない。

新時代に備えるのも大事ですが、これまで歩んできた軌跡も大事にして頂きたいと思っております。

何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (版数で見る「この恋」シリーズの軌跡)

どうも東雲信者です。

先日の記事では、この恋と、その未来。という作品がどのような軌跡を辿り、無念の打ち切りになったのかを

 

「作者サイド」・「出版社サイド」

 

という観点に着目しまとめさせて頂きました。

本日は、恐らく通常の読者が誰も注目しない「版数」という観点からどのように「この恋」シリーズが売り上げが悪いと判断されたのか?

ということに関して私なりに考察したいと考えております。

恐らく、一読者でありながら出版物の版数まで把握しているのは私だけだと思いますので・・・

 

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さて、先日書いた記事では出版社がどのような販促活動を行って経営戦略をとってきたかを書かせて頂きました。

しかし、それが成功には繋がらなかった。

それは何故なのか?

それは市場に商品が十分に供給できていなかった、すなわち「増版」されなかった為に市場読者に効率的に作品提供できなかったからであると私は考えております。

 

1.「版数」とは?

一般的に、出版物はある一定量を印刷され発行し、出版物として市場へ提供されます。

問題となる誤植や、差し替え等がない場合初版と言う形で市場に多く出回ります。

「版数」とはすなわち、その出版物がどれだけの回数印刷されたのかを知る目安でありある種の「作品知名度」を図る手段としても活用することができます。

ライトノベルにおいては先述の誤植等の一部例外を除き、

 

「作品の売り上げが見込める」

 

上記の状況において増版されることが多々あります。

 

例えば、市場に読者が1万人いる。けれども、出版物は1000冊しかない。

残り9割の読者に提供するためには数を増やす必要がある、だからこそ増版する必要があるわけですね。

注意すべき点は、市場での欠品期間が長くなるに伴い購入意欲が減衰する傾向にあるということです。

買いたい作品が市場にない場合、他の店舗に行って見つかれば買うでしょう。

しかし、もしそこでも欠品していたら?

購入機会の損失は、売り上げの減少に直結します。

 

 

2.森橋ビンゴ作品における版数の軌跡

 

2013年度の「このラノ」ベスト10位入賞によって、東雲侑子」シリーズの知名度は大きく向上しました。

完結作品であることと、全3巻であること。

それら2つの要因と、作品の面白さから2014年時点では

 

東雲侑子は短編小説をあいしている」:第5版

東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる」:第5版

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける」:第4版

 

という結果が確認されております。

もともと、一度に増版する量は他作品に比べて少ないでしょうが、それを考慮しても第5版まで増版されたことを考慮するとこの作品がどれだけ愛されたのかが少しでも感じて頂けると思います。

さて、上記内容は2012年5月30日に完結した東雲侑子」シリーズが3年近く掛けて辿った軌跡でございます。

それ以降の増版が無いことと、「この恋」シリーズ刊行後の増版が確認できないことから市場への供給はある程度提供し終えた状況であることが考えられます。

それらを踏まえたうえで、新作となるこの恋と、その未来。」シリーズの刊行の軌跡を振り返ると以下のようになります。

 

2014年6月30日 「この恋と、その未来。 -一年目 春-」発売開始

 

「この恋」シリーズ連載開始

 

2014年11月29日 「この恋と、その未来。 -一年目 夏秋-」発売開始

 

同日「一年目 春」再販決定(公式BLOG様や独自の市場調査により確認)

 

2015年5月30日 「この恋と、その未来。 -一年目 冬-」発売開始

同時期頃に「一年目 春」三版を市場調査にて確認。

 

2015年10月30日 「この恋と、その未来。 -二年目 春夏-」発売開始

上記作品発売時期との間で「一年目 夏秋」再販を市場調査にて確認。

 

2016年5月30日 「この恋と、その未来。 -二年目 秋冬-」発売開始

 

これが、「この恋」シリーズが歩んできた版数の軌跡であります。

東雲侑子」シリーズに比べ、「この恋」シリーズの版数の伸びが少ないというのが明確であります。

 

 

3.何故増版ができなかったのか?

 

増版ができないということはすなわち、「市場に商品がない状況を産み出す」ということであります。

しかし、増版するということは「絶対的な売り上げが見込める」という期待が無ければ増版に至るのは難しいということでもあります。

つまり売れなかった場合、在庫を抱えるリスクも同時に抱えるということです。

 

 

こちらの森橋先生の発言から、「この恋」シリーズの増版に踏み切れなかった背景が推察できます。

反面、前日の記事でも取り上げた通り「市場へのアプローチ」には出版社なりに努力してきた跡が見受けられます。

それでも、増版を行い不動在庫を抱えるというリスクから想定した市場への供給を十分に行えなかったのもまた事実であります。

 

この問題に関して、出版業界の今抱えている多くの問題が連鎖して起こったと考えております。

今一度、皆様の愛する作品について本当に作品のことを知っているのか?

自問自答してみてください。気付かないだけで無念の打ち切りと言う「作品の死」の足音が近づいているのかもしれません。

 

知らなかったで貴方の好きな作品は亡くなって良いのですか?

 

何度でも言います!失ってからでは遅いのです!

 

最後になりますが、私のようにいちいち出版作品の版数まで数えろなど申しません。

しかし、皆様に言いたいこと。

知ってください、今貴方が好きな作品がいる状況を。

作品世界を取り巻く出版業界を。

この記事をきっかけに、少しだけでも多くの方が好きな作品について考えて頂ければ幸いです。

 

貴方の好きな作品と、その未来。を迎えることを心より願って・・・

何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (出版社サイドの落ち度について)

何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか?

 

今回は「出版社サイド」という観点から、信者である私がこれまで出版社がどのようにアプローチをし経営戦略を進めていったのかを記録するものです。

前の記事でも申し上げましたが、「出版社」や「作者」を悪戯に非難したり、乏しめるつまりもございません。

加えて、彼らを必要以上に擁護するのもこの場では極力差し控えようと考えております。

そういいつつも前回の記事で森橋先生に肩入れしすぎたのは否定できませんが・・・

 

本記事の趣旨は、

 

「何故打ち切られたのか?」

 

という明確な結果に至ってしまった要因を、様々な観点から検証してみるという趣旨のもと記載しております。

繰り返すようで申し訳ありませんが、信者である私は良い部分も悪い部分も包み隠さず受け入れなければなりません。

好きな作品であるからこそ、世界で最も愛していると自称しているからこそこの事実を直視したいと考えております。

長くはなりましたが、これより本題である

 

何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (出版社サイドの落ち度について)

 

について語ろうと思います。

 

前記事

ntypeog3.hatenablog.com

 

 

さて、早速ですが皆様はこの恋と、その未来。という作品がどのような経営戦略をとっていたかご存知でしょうか?

経営戦略と言ってパッと思いつかない人も多いでしょう。

単純に言ってしまえば、「どうやったら作品を知ってもらえるか?」という事であります。

 

多くの出版物は、

 

「○○賞受賞!!!(各レーベル毎の新人作品など)」

「○○先生絶賛!!!(人気ラノベ作家様等の評論など)」

「○○先生最新作!!!(シリーズ完結後の有名作家様による新作など)」

 

と言う風に告知されます。

(今回は完全なる新規作品を出版したと仮定します)

 

最近では、ネットでの話題によって出版刊行される「なろう」シリーズや、メディア展開や人気絵師を採用した物など時代による変化も多少はありますが

本質的な「何かしらの評価対象を用いて売り込む」というのは、新規作品のある種テンプレート的な経営戦略であると言えます。

 

前述の例でいうなら、

 

各社毎に行われる賞を受賞した作品を持ち上げる

 

「受賞型新作出版」

ー前年までの受賞作をラインナップすることで過去受賞作の読者や、ラノベ読者等の読者層を獲得する経営戦略ー

 

各社毎の人気作家評価によって作品を持ち上げる

 

「評価型新作出版」

ー既存人気作品を提供している人気作家によるお墨付きを貰うことで、その読者ならびにラノベ読者に興味を持たせ読者層を獲得する経営戦略ー

 

作者の固定客を新作提供によって作品を持ち上げる

 

「固定型新作出版」

ー上述した既存作品等を手掛けた作家が作り出した新規作品を、その読者ならびにラノベ読者に興味を持たせ読者層を獲得する経営戦略ー

 

の3つに分類化できるのではないと思います。

(上述の名前は私が適当に付けたものです、細分化するとこれまた長くなるので今回は割愛します)

 

前2つは完全なる新規作品(いわゆるデビュー作品と呼ばれるもの)であり、それらのブランドネームを持たない作家を売り込むために、各出版社が手を変え品を変え話題を生み出そうとしております。

当然、それら作品を売り込むためには話題を作らなければなりません。

産まれた時点で、既に「固定読者を何万人も所有する作家」「産まれ立ての新人作家」ではどちらが売り上げを期待できるか?

言うまでもありませんね?

そう、後者です。

出版業界もボランティアではありません、売り上げを出せない作品に未来はありません。

この恋と、その未来。という未来の名を冠する作品が打ち切られてしまったのは皮肉な話ではありますが・・・・

話が逸れましたが、要するに私が言いたいのは「作品を売り込む努力」が必要不可欠である。

当たり前のように感じられますが、我々が知らないところで出版社様は努力をしておるのです。

 

本当に前置きが長くなりましたが、ここからが本編です。

まず初めに

 

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この記事では、前作「東雲侑子」シリーズと今作「この恋と、その未来。」が歩んできた歴史を記載させて頂きました。

発売日関連だけではありますが、出版社や作者である森橋ビンゴ先生・Nardack先生ならびに関係者の皆様の意図の一端を垣間見れるのではないのかと考えております。

 

本記事では、前記事では触れなかった「この恋」シリーズの歩んだ歴史をより明確に記述したいと思います。

 

2012年5月30日 東雲侑子は全ての小説をあいしつづける」発売開始

この日、前作東雲侑子」シリーズ完結。

同年11月に、このライトノベルがすごい!2013年度」8位に入賞する。

完結作品にしては極めて異例であり、同年のベスト10ランクイン作品としては同年に完結したサクラダリセットと並んで受賞作品内でアニメ化していない作品であるのだ。

(アニメ化に際して細かいことを言えば、受賞当時はアニメ化していない作品なども入賞ではあるが今回は割愛する)

これがどれだけすごいことなのかは、各読者毎には異なりますが

 

「全くの無名作品」:同年入賞作品と比較しても話題性は非常に低い。

「短期間完結作品」:上述作品と比較しても巻数は非常に少ない全3巻。

 

という2つの観点だけでも、東雲侑子」シリーズが入賞したことがどれだけの偉業を成し遂げたのか言うまでもありません・・・

 

さて、そうした偉業を成し遂げてから1年半後・・・

ついに、森橋ビンゴ先生が始動します。

 

そう・・・

 

2014年6月30日 「この恋と、その未来。 -一年目 春-」発売開始

 

「この恋」シリーズ連載開始である。

前作の東雲侑子」シリーズとは違い、本作「この恋」シリーズはある巻数以上の連載を想定した出版作品であります。

具体的に、どれだけ出版社が力を入れ込んでいたのかと言うと、

 

1.連載開始時に森橋先生とNardack先生とのインタビューを含めた公式特集HP

2.大手書店での多数店舗との販促展開

3.作品舞台である広島とのタイアップ

 

ファミ通文庫作品にしては比較的大規模の経営戦略をとっております。

皆様はご存じだったでしょうか?

 

1に関しては、作品概要と登場人物の紹介、それに加えて各先生方への今作への意気込みなどのインタビュー記事。

2に関しては、アニメイト」様・「ゲーマーズ」様・「WonderGoo」様等の全国展開しているアニメショップでの店舗特典の配布。

3に関しては、広島大手書店での限定店舗特典と広島駅とのタイアップ。

 

今作に掛ける「ファミ通文庫」様の意気込みが感じ取れるかと思います。

 

現実問題として、「この恋」初巻の売り上げは出版社サイドとしては予想以上に悪かったそうではありますが、

同年のこのライトノベルがすごい!2015年度」では1巻のみで9位に入賞する等、話題を提供する等出版社が悲観する程、致命的な結果ではなかったというのが私個人の見解であります。

 

このラノ2015年度」の話を先に出してしまいましたが、その前に

 

2014年11月29日 「この恋と、その未来。 -一年目 夏秋-」発売開始

 

を迎えている。

同発売時期に、ファミ通文庫は2つの大きな経営戦略を行っておりました。

 

1.全国書店における既刊作品購入者への販促物配布

2.それに伴う公式HPでのインタビューならびにサインプレゼント

 

であります。

ファミ通文庫作家である石川博品」先生とのタイアップを行う形で、各先生方へのインタビュー等、新規読者の獲得を目的とした経営戦略が行われておりました。

加えて新刊発売直後には、ファミ通文庫公式Twitterアカウントによる感想Tweet等のRT等、公式が必死に宣伝活動を行っておりました。

 

転機となったのは続巻の

 

2015年5月30日 「この恋と、その未来。 -一年目 冬-」発売開始

 

 

この巻で販促物が「アニメイト」様・「ゲーマーズ」様の2店舗だけになってしまいました。

「一年目 冬」の評価に関しては過去記事にも書きましたが、この巻の発売時期は個人的には大きな分岐点ではないのかと個人的に推察しております。

私個人では良い風に繋がったと認識しておりました。

しかし、出版社サイドにとってこれを機会に裏で打ち切りを進めていたのではないかと考察しております。

 

2015年10月30日 「この恋と、その未来。 -二年目 春夏-」発売開始

 

同年秋に、続巻が発売しているがその直後に発表された「このラノ2016年度」での評価もベスト10位以内を逃すなど雲行きは怪しくなっていきました。

しかし、ベスト20には入賞していたこと、ファミ通文庫というレーベルでは最も順位が高いという理由から完結までは滞りないであろうと高を括っておりました。

あとがきでも、あと2巻ほどで完結すると明言しておりましたので・・・

 

そして、訪れる運命の日・・・

 

2016年5月30日 「この恋と、その未来。 -二年目 秋冬-」発売開始

 

 

「この恋」シリーズ打ち切り決定(森橋先生発言ならびにあとがきより)

 

関連発言

 

以上が、「この恋」シリーズが辿った打ち切りという顛末の全容でございます。

では、上記の経営戦略を踏まえたうえで私が考える敗因を2つだけ述べさせていただきたいと思います。

 

1.一般読者ならびにラノベ読者への周知不足

売り上げが悪い作品を推すことは確かにリスクの高い行為ではあります。

では、それを考慮してでも何故私がこれを敗因と断言するのか?

それはこの一言に集約されます。

 

「皆さんは上記経営戦略の一端を少しでも周知していたでしょうか?」

 

つまるところ

 

「「この恋と、その未来。」という作品をファミ通文庫が売り込んでいたという事実を知っていましたか?」

 

ということです。

 

去年のラグビーワールドカップで日本代表が南アフリカを破り、五郎丸歩選手が世に広く認知されたように

 

「知ってもらう」

 

という行為は、経営戦略にとって非常に重要な事柄であります。

 

「それまで、ラグビーにおいて日本が24年間勝てなかった事実をご存知ですか?」

 

南アフリカを破る前から五郎丸歩選手をご存知でしたか?」

 

「日本代表が何故偉業を成し遂げたのかご存知でしたか?」

 

知ることの重要性を改めて語る必要は無いと思います。

それだけ「知る」という行為、すなわち「認知」してもらうという行為は必要不可欠なのです。

 

「売れるべき作品を売れるようにする」

 

出版社の責務であると私は考えております。

そうした理由から、1つ目の敗因と挙げさせていただきました。

 

2.販売店舗との情報伝達の行き違い

 

これも1つ目の敗因に起因する要因ですが、出版社は販売店と協力してキャンペーン展開や販促物などの配布を行っております。

特に、「一年目 夏秋」発売時に行われた、東雲侑子」シリーズとの連動SSペーパーの配布キャンペーンの際に販売店舗が販促概要を周知していなかった事実確認できました。

(後日、別途記事にて詳細は延べますが・・・)

 

キャンペーンが周知されることも重要ですが、それを展開する販売店様との密なやり取りが必要不可欠なのは言うまでもありません。

1つ目の読者への周知に加え、販売店への周知の欠如。

店員も知らないことが、読者の皆様に伝わるとお思いですか?

 

「売る人間が作品の魅力を理解していないことがどれだけ愚かなことか」

 

言ってしまえば

 

「販売店様が販売している商品が何かを知らない状況にある」

 

ということと同義しているのです。

 

「是非とも当店で買って下さい!何を売っているかは私も分かりませんが!」

 

そんなお店で何か購入したいと思いますか?

販売店側との密なやり取りはそれだけ必要不可欠なのです。

 

以上2つを大きく怠ったが故に、今回のような打ち切りになってしまった。

私はそう考えております。

 

最後にひとつだけ言わせて頂きます。

出版社サイドの落ち度について指摘しましたが、出版社について大きく非難するつもりはありません。

この場ではそのつもりは毛頭ございませんし、別途記事で爆発させようと思います。

 

昨今の、紙媒体の売り上げ減と言う状況でありながら、上述の経営戦略をとったことがどれだけ凄いことであるか・・・

アニメ化もコミカライズ化も、他作品の王道作品に比べ見込みが少ない作品であります。(もちろん今作が素晴らしいというのは事実ですが今回は割愛します)

そのこの恋と、その未来。と言う作品がこれだけ力を入れられていた。

それは、変わりようがない事実であります。

その反対に、それだけの活動を皆様読者に周知してもらえなかったということもこれまた変わりようのない事実であります。

 

 

それを踏まえたうえで、アンケートの記入や感想の共有など我々読者が出来ることを行って頂ければと思います。

長くなりましたが、以上で締めたいと思います。

駄文失礼致しました。