何故「この恋と、その未来。」は打ち切られてしまったのか? (増版に至れなかった理由)
少し、重複するかもしれないけどどうしても書きたかったので。
どうも東雲信者です。
先日までは可能な限り考えれる理由を述べさせて頂きました。
出版社の意向や方針によるもの、作者自身の執筆速度、そして出版社自体の市場へのアプローチについて。
今回は、その中で触れた「版数の問題」について
つまり、「何故増版出来なかったのか?」についてもう少し語りたいと思います。
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上記の記事でも書きましたが、「この恋と、その未来。」という作品は知名度こそ他メディアにも数多く展開している作品に比べ評価されている作品でありました。
それは2015年度「このライトノベルがすごい!」9位入賞という実績からもご理解いただけると思います。
また、前作「東雲侑子」シリーズの高評価もあり、先述の結果を勝ち取れたとも思います。
ではそんな作品が増版出来なかったのか?
一般読者には難しいから?売り上げが見込めないから?
上記理由の他に、私は「既刊シリーズの市場供給量過多によるものである」と考えております。
簡単に言えば「売れ残り」ですね。
増版へのプロセスは先日の記事でも触れましたが、一般的に出版社は本を発行した分著作権料などを支払う必要があります。
加えて、増版などの刊行する際には印刷し本を刷らねばならないのでコストがかかります。
つまり、「増版」=「コスト」になるわけです。
この「増版」と言う手順に至る大きな要因はやはり売り上げが起因し、
「売り上げによる利益」>「増版によるコスト(損失)」
に相当しなければ、増版にはならないということです。(一部の例外を除きますが)
「この恋」シリーズの軌跡については以前語りましたが、前作「東雲侑子」シリーズ発売から2年以上の間が空いていました。
加えて、連載終了後に電子書籍での刊行も決定しておりました。(フルカラーですので是非ともお手に取ってください。)
つまり旧作です。市場でも目にする機会が減っておりました。
そんな旧作と連動した大規模なキャンペーンを刊行しようとした際に、
1.出版社の想像以上に「この恋」初巻の売れ行きが悪い
2.前作「東雲侑子」シリーズは旧作であり、市場での価値は見込めない
3.上記2つに起因し、市場全体で見ると増版を掛ける意義が見出せない
この3つの理由が大きな原因になり、大規模な増版に至れなかったのが今作打ち切りの顛末なのではないのかと思います。
再版に関しても、恐らく大手書店やキャンペーン連動書店などへの補充発注分程度でそこまで大きな数刷っていたわけではないかと思います。
その結果
市場の一部(大手書店等)で在庫不足に、しかし市場全体でみると売れていないから大がかりな増版はできない。
その結果、補充のみの増版になってしまった。
その結果「このラノ」ベスト10位以内にも関わらず、市場に十分な量供給できていない。
新規読者の獲得機会を大きく逸らす。
つまるところ、「売り逃してしまった」ということです。
シリーズ作品で、1巻が無い。
続きを読もうと書店へ立ち寄ったら、続きが無くて買えなかった。
買い逃しの機会は、新規読者を容易に逃がします。
それがどれだけ面白い作品であっても。
忘れないでください、この作品が歩んできた過去を。
忘れないでください、この作品が亡くなった現在を。
忘れないでください、「この恋と、その未来。」を。
東雲信者より・・・